バレーのメンバー表にはリベロが2人いるのに、コートでは色の違うユニフォームの選手が1人しか見当たらない。試合を見ていると、そんな場面がありますね。これは、登録できる人数と同時にプレーできる人数が違うためです。
6人制バレーの国際ルールでは、リベロは最大2人を指名できますが、同時にコートに立てるのは1人です。2人を使うチームは、守備の得意分野や試合の状況に応じて入れ替えられます。一方、全チームが必ず2人を起用するわけではありません。
この記事では、2人の役割、交代できる相手とタイミング、通常の選手交代との違いを整理します。2026年10月3日時点で確認できるFIVBの2025〜2028年版ルールとJVAの2026年度資料をもとに、まず国際的な6人制の観戦で迷いやすい点から説明します。
- 2人登録しても、コート上のリベロは1人
- 登録人数によって2人の指名が必要になる場合がある
- リベロ同士の交代と、元の選手へ戻す交代を区別できる
- サーブ権と背番号を見ると、守備の使い分けを追いやすい
バレーのリベロが2人いる理由

登録は2人でも同時出場は1人
最初に分けたいのは、「チームに何人いるか」と「今コートに何人いるか」です。リベロを2人登録していても、守備専門の選手が2人同時に加わって7人や8人でプレーするわけではありません。コート上のチームは6人のままで、そのうち1人をリベロに置き換えます。
FIVB規則19.1では、スコアシートに記載された選手の中から守備専門のリベロを2人まで指名できます。コート内でプレー中の選手がアクティングリベロ、もう1人がセカンドリベロです。この2つはその場の状態を表す呼び方で、背番号順や実力順を意味する言葉ではありません。
したがって、セカンドリベロという表示を見て「試合には出られない予備選手なのかな」と考える必要はありません。交代の条件を満たせば、同じセットの途中でもプレーできます。ただし、2人が同時にリベロとしてラリーへ参加することはできません。
| 見ている人数 | 意味 | 観戦での確認点 |
|---|---|---|
| メンバー表のリベロ2人 | その試合に指名された守備専門の選手 | 両方が同時に出るという意味ではない |
| コート上のリベロ1人 | 今のラリーでプレーするリベロ | 通常選手5人と合わせて6人 |
| ベンチ側のもう1人 | 交代に備えているセカンドリベロ | セット途中で入る可能性がある |
人数と指名の根拠は、FIVB公式ルール2025〜2028年版の規則19.1で確認できます。以下も、この6人制の基本ルールを前提にした説明です。
レセプションとディグを分担できる
2人を起用する戦術上の利点として、相手のサーブを受ける場面と、ラリー中の攻撃を拾う場面で得意な選手を選べることが挙げられます。同じ「レシーブ」でも、サーブレシーブはレセプション、スパイクなどを拾う守備はディグと呼ばれ、見る手がかりが違います。
相手のサーブから始まる場面では、最初の返球を安定させることが攻撃の組み立てにつながります。一方、自分たちがサーブを打った後は、相手がどこから攻めるかを読み、ブロックの後ろに落ちるボールや強打へ備える必要があります。両方を高い水準で担える選手もいれば、特に得意な場面がはっきりした選手もいます。
ここで大切なのは、役割分担はチームの戦術であって、「1人目は必ずレセプション、2人目は必ずディグ」と規則で決まっているわけではないことです。2人とも登録されているのに片方が長くプレーしていても、それだけでおかしい起用とはいえません。
観戦では、背番号が変わった瞬間に次のサーバーを確認してみてください。相手サーブの前に入る選手、自チームのサーブの前に入る選手という傾向が続けば、守備を使い分けている可能性があります。1回の交代だけで決めつけず、数ラリーを追うと意図を考えやすくなります。
レセプションが攻撃へつながる例として、サントリーサンバーズ大阪の公式ゲーム情報では、リベロの返球からセッターが中央の攻撃を組み立てる点が見どころとして説明されています。ボールを落とさないことに加え、次の選手が扱いやすい場所へ返せたかにも注目すると、守備の価値が見えてきます。
2人が必要かは登録条件で変わる
「2人まで指名できる」と「2人指名しなければならない」は、別の条件です。FIVBのシニアの世界大会・公式大会では、スコアシートに12人を超える選手が記載される場合、リベロ2人の指名が必須とされています。つまり、この条件に当てはまる13人以上の編成と、12人以下の編成を同じ扱いにはできません。
JVAの2026年度6人制実技マニュアルにも、構成メンバーが13名以上の場合はリベロを2名登録する扱いが示されています。ただし、ここから「中学・高校・地域の大会まで、どの試合も同じ登録人数」と広げるのは避けましょう。大会で認められる人数や特別な運用は、当該大会の要項も確認する必要があります。
観戦で見る際は、代表候補の大きな名簿ではなく、その大会・その試合の登録を確認するのが近道です。年間の代表登録に複数のリベロがいても、その全員が同じ試合に入っているとは限りません。大会の出場メンバー、試合の記録用紙、先発の6人は、それぞれ示している範囲が異なります。
「リベロは必ず2人」「12人なら絶対に1人」という短い説明だけを覚えるより、まず大会名と登録の枠を確かめるほうが、別の試合を見たときにも混乱しにくくなります。人数の条件が分からないときは、メンバー表のポジション欄と大会公式の競技規程をセットで見るとよいですね。
国内の登録と運用は、JVAの2026年度6人制実技マニュアル(本文24ページ)を参照しています。学校や地域の大会に出場する場合は、この説明だけで申込書を作らず、主催者の最新要項を優先してください。
アジア大会の日本代表は1人編成
身近な比較例が、2026年の愛知・名古屋アジア大会です。JVAが掲載する男子日本代表メンバーは12人で、リベロとして掲載されているのは高橋和幸選手です。2人を使うチームを見た後でも、この大会の日本代表に同じ編成を当てはめないようにしましょう。
この例から分かるのは、日本代表という同じ呼び名でも、大会ごとに登録と選考の結果が異なるということです。「別の大会ではリベロが2人いたから、今回も2人のはず」と探すと、通常選手として守備に入る選手までリベロと取り違えてしまいます。
一方、1人の編成を見て、その選手の評価や選考の事情まで推測することもできません。名簿から確実に読み取れるのは登録の事実です。選考意図を説明する公式コメントがない部分については、守備力の優劣や監督の考えを断定しないほうが、試合そのものを落ち着いて楽しめます。
実際の登録はJVAのアジア大会男子日本代表メンバーで確認できます。全ポジションの顔ぶれを先に見たい場合は、アジア大会男子バレー代表12人のポジションと所属もあわせて読むと、リベロと入れ替わる選手を探しやすくなります。
リベロ2人の交代ルールと見方

交代相手は元の選手かもう1人
リベロの出入りは、通常の選手交代とは区別して「リベロリプレイスメント」と呼ばれます。入るときは後衛の選手と交代できますが、出るときは相手が決まっています。コート内のリベロが入れ替われるのは、そのポジションで元々交代していた通常選手、またはもう1人のリベロです。
例として、通常選手Aの代わりにリベロL1が入った場面を考えます。L1がベンチへ下がる際はAを戻せますし、もう1人のリベロL2へ直接つなぐこともできます。L1とL2を入れ替えるたびに、必ずAを一度コートへ戻す必要はありません。ただし、間に完了したラリーが必要というタイミングの条件は別に守ります。
L2がその後コートを出るときも、通常選手として戻るのはAです。守備の担当がL1からL2に替わったからといって、Aの枠が別の通常選手Bの枠へ変わるわけではありません。背番号が次々に入れ替わる場面でも、「今は誰の代わりに入っているか」を軸にすると整理できます。
| 交代の例 | 考え方 |
|---|---|
| 通常選手A → L1 | 後衛のAをリベロに置き換える |
| L1 → L2 | 条件を満たせばリベロ同士で直接入れ替われる |
| L2 → 通常選手A | 元の通常選手が戻る |
| L2 → 無関係な通常選手B | 元の交代相手ではないため、自由には戻せない |
この表は交代相手の対応を示したもので、同じ中断中に上から順番に連続して実行できるという意味ではありません。各出入りの間には、次の項目で説明するラリーの条件があります。交代相手と交代時機を別々に確認するのがポイントです。
また、試合を通してリベロがずっと1人の通常選手とだけ組むという意味でもありません。元の選手が正しく戻った後、必要なラリーを挟み、別の後衛の選手に代わって入ることはできます。「一度入った後に誰が戻れるか」と「試合全体で誰の守備を担当できるか」を分けて考えましょう。
後衛との入れ替えという基本は、JVA「はじめてのバレーボール」にも説明されています。ミドルブロッカーとの交代を見かけても、「ミドルとしか交代できない」というルールだと覚えないことが大切です。
回数よりラリーと笛のタイミング
リベロの出入りには、通常の選手交代と同じ回数枠を使いません。回数は無制限ですが、思いついた瞬間に出入りできるわけではなく、原則として2回のリベロリプレイスメントの間に完了したラリーが必要です。
たとえば、あるラリーが終わってL1からL2へ替えた直後、まだ次のラリーを行っていない段階でL2からL1へ戻す、という出入りは原則できません。作戦を変えたくなっても、回数が無制限であることと、連続した出入りが自由であることは違います。
通常の出入りはボールがアウトオブプレーになっている間で、主審のサービス許可の笛より前に行います。セットの最初には、副審がラインアップを確認してからリベロが入る手順もあります。試合が始まる前に6人が並んでから、色違いの選手が入ってくるのは、この確認の流れとして見ると分かりやすいですね。
ラリー中に選手が転んだり、ベンチ側へボールを追ったりしただけでは、自由に入れ替わる時間にはなりません。ボールが生きている間はプレーが続いています。テレビではリプレー映像の間に交代が済むこともあるので、戻った画面で背番号が変わっていても、不正な出入りと即断しないようにしましょう。
JVAの実技資料では、ノーカウントはラリーの完了として扱わない点も説明されています。タイムアウトなどで時間が空いたというだけでも、「1ラリーを挟んだ」ことにはなりません。出入りの間隔は秒数ではなく、プレーと得点の進行で捉える必要があります。
負傷でプレーを続けられない場合など、規則に定める例外もあります。通常の使い分けを理解したい段階では、まず「ラリー間」「笛の前」「続けて替えるにはラリーが必要」の3点を覚え、特別な処置は審判の説明や大会の扱いを確認するのが実用的です。
通常交代や守備固めとの違い
通常の選手が別の通常選手へ替わる場合と、リベロが出入りする場合は、手続きや制限が異なります。FIVBの基本ルールでは通常交代は1セット6回までですが、リベロリプレイスメントはそこへ加算しません。何度もベンチとコートを行き来するリベロを見ても、それだけで交代回数を使い切ることはありません。
出入りする場所も見る手がかりになります。リベロは、自チームのベンチ側にあるアタックラインからエンドラインまでのサイドラインを使います。ネット寄りの通常の選手交代ゾーンで行う交代とは区別されるため、サイドラインのどの辺りを通ったかを見ておくと、画面上でも追いやすくなります。
もう一つ紛らわしいのが、リベロを本職とする選手が通常選手として守備を担うケースです。普段の紹介がリベロでも、その試合での登録や出場方法が通常選手であれば、リベロ専用の出入りとは同じになりません。選手の得意ポジションだけで判定せず、当日の登録と交代の扱いを見る必要があります。
| 確認する点 | リベロの出入り | 通常選手の交代 |
|---|---|---|
| 回数の扱い | 通常交代の回数に数えない | FIVB基本ルールでは1セット6回まで |
| 見る場所 | ベンチ側のアタックラインからエンドラインの間 | ネット寄りの選手交代ゾーン |
| 観戦時の手がかり | リベロの登録・背番号・元の交代相手 | その試合での登録と交代手続き |
実際に、サントリーの2016年1月9日公式試合レポートでは、リベロからスパイカーへ戻った鶴田選手がサーブや攻撃で貢献した例が紹介されています。これは当時の起用例で、現在の所属を示すものではありません。「リベロ経験者が打った」と「リベロとして出場中の選手が打った」を区別する材料になります。
2人の使い分けを見るチェック順
初めて見るチームなら、いきなり全員の動きを覚えようとせず、公式メンバー表でリベロの背番号を確認するところから始めると追いやすくなります。次に、ラリーが終わったときのサーブ権と、リベロが入れ替わったかを見ます。色だけでなく番号も追えば、似たユニフォーム同士の交代にも気づけます。
その後は、入っているリベロが最初のサーブを受ける配置にいるのか、相手の攻撃を拾うために構えているのかを見てください。サーブ権が移るたびに担当が替わるなら使い分けの傾向を読み取れますし、同じ選手が残るなら両方の役割を続けて担っていると分かります。
返球の評価では、派手な飛び込みだけに注目しないのも楽しみ方の一つです。セッターが大きく動かずに次のプレーへ入れたか、味方が余裕を持ってつなげたか、拾った後も攻撃へ移れたかを見ると、得点の直前より前の働きに気づけます。ミスの本数だけでは見えない役割がありますね。
ただし、映像から読み取れる範囲には限りがあります。選手交代の理由が必ず画面に示されるわけではなく、相手との相性、連係、当日の状態などを一つの場面から確定することはできません。「サーブを受ける場面で替わった」という観察と、「この選手はディグが苦手だから替えられた」という評価は分けましょう。
出場時間が短い選手にも、短い場面を安定させる役割があり得ます。ベンチにいる時間だけで序列を決めるより、どの状況で投入され、次の攻撃へどんな返球をしたかを比べるほうが、2人編成ならではの見どころを楽しめます。
リベロ2人は登録と交代を分けて見る
バレーのリベロが2人いるときは、まず「2人登録できること」と「同時にプレーするのは1人であること」を分けて見ると整理できます。その上で、登録人数の条件と、守備の役割分担というチームごとの使い方を確認しましょう。
交代を見るときに頼りになるのは、背番号、元の通常選手、ラリーの区切りです。リベロ同士は直接入れ替われますが、自由な相手と無条件に交代できるわけではありません。通常交代との違いまで分かると、短い中断の間に何が起きたかも追いやすくなります。
次の試合では、公式メンバー表で人数を確認し、最初の数ラリーだけリベロの背番号を追ってみてください。1人が守り続ける編成と、2人を使い分ける編成のどちらも、その試合の役割として見られるようになります。


